時間割アプリ「Orario」の使用禁止令と問題点

大学生向け時間割アプリ「Orario」の問題点

Orario』とは、同名企業が開発している時間割管理アプリで、ユーザーが大学発行の学内WEBサービス利用用ID・パスワードを入力すると教務システムに自動ログインし、時間割を自動生成したり、休講や教室変更の情報をリアルタイム通知してくれたりする機能を持っています。

一見非常に便利なアプリに思えますが、このOrarioをめぐり、いくつかの大学は使用を控えるように学生に呼びかけるコメントを出しています。

実は、このアプリは対応している大学が公式で認めたものではないのです。使用禁止を呼びかけた大学側は、個人情報が流出する危険があることや、履修情報の改ざん、迷惑メールの送信などに悪用される可能性があることを問題点として指摘しています。

Orario側の見解は…

複数大学が注意呼びかける時間割アプリ、Orario公式見解を全文掲載

このような指摘に対して、Orario側は安全性を強調する見解を発表しました。

Orarioで使用されている技術はWEBスクレイピングと呼ばれるもので、ユーザーのID・パスワードはあくまで利用者のスマートフォンと大学サーバーの間だけで使用され、Orarioサーバーには保存されないので個人情報漏洩にはつながらないとしています。

Orario側は大学名を冠したアプリリリースの許可を取っていなかったことについては認め、今後アプリ対応大学へのあいさつに行くことを計画しているとのことです。

大学生の意見

各大学が懸念を示す中、ターゲットユーザーである大学生からは大学への不満の声も上がっています。

明治大学2年生 Sさん
「うちの大学には公式の時間割管理アプリがなく、学務システムはスマホから閲覧しにくかったから、別の時間割アプリに手動で情報を入力して時間割を作成していました。

正直面倒くさくて、Orarioがうちの大学にも対応した時には感動しました。おまけに休講情報も通知してくれるのでめちゃくちゃ助かります。大学から使うなって言われても、じゃあ大学が公式でもっと便利なアプリ出してくれよな、って思いますね」

大学の学務システムは、多くの場合閲覧しにくくなっています。それでもシステムが用意されているだけいい方で、掲示板に張り出して終りの学校も存在します。しかし学校側で便利なアプリを開発することは難しいため、学生はOrarioを利用するという訳です。

東洋大学1年生 Yさん
「私が通っている東洋大学は、まだOrarioに対応していないようです。同じ学生マンションに住んでいる他校の学生は利用できるみたいで羨ましいです。

私は何度か休講情報に気づかずに学校に行ってしまって時間を無駄にしたことがあって、休講情報通知だけでも欲しいと思ってしまいます」

Orarioが利用できる学校の学生と、利用できない学校の学生で楽さに違いが出てしまっているようです。特に学生向けマンションには複数の学校の学生が住んでいます。
東洋大学生向け学生マンション|学生マンションドットコム

一緒に住んでいるので、休校で休んでいる様子がわかり、余計羨ましくなるのかもしれません。

便利なアプリなのは確かですが、大学公式アプリではないのでユーザー情報の取り扱いや情報の正確性・即時性には十分な注意が必要だといえるでしょう。